PRIVATE LAB プライベートラボ

一般的な日本酒の製法によらず、革新的で大胆な手法を用いて醸される”Private Lab”。日本酒が将来達成すべき新しい味わいや、日本酒が解決しなくてはならない問題点をクリアするために構想された。「新政」の根源的な精神と初期衝動をもっともよく伝えるラインである。なおデザインは、風水の象徴である四神をモチーフとしている。

  • R03BY July.2021 - June.2022
    貴醸酒
    陽乃鳥(ひのとり)第14世代
    • 内容量:720mℓ
      原料米:秋田県産米
      精米歩合:麹米55%、掛米60%
      アルコール分:13度
      仕込容器:木桶
      使用瓶:六花附長筒酒入(りっかつきながつつさけいれ)
      参考小売価格 :2,480円(税込)

    1973年、国税庁技師の手により日本最古の清酒製法をベースとして開発された「貴醸酒」。酒は通常、米・米麹・水で仕込まれるが、この水の一部を酒に置き換えて仕込んだものである。酒がもう一度もろみの中で発酵作用を受けるため、出来上がった酒はより濃厚になり甘みも強くなる。この酒が生まれ変わる様をして、当作品は「陽乃鳥」と名付けられている。なお加えられる酒はあらかじめミズナラの樽に入れて1年間追熟させており、そこから得られるバニラ様の香りがより酒の甘さを引き立てる。さらに本シーズンから満を持して木桶仕込みに切り替わっており、まさに唯一無二の「貴醸酒」といえるのではなかろうか。

    陽乃鳥
  • R03BY July.2021 - June.2022
    白麹仕込純米酒
    亜麻猫(あまねこ)第13世代
    • 内容量:720mℓ
      原料米:秋田県産米
      精米歩合:麹米55%、掛米60%
      アルコール分:13度
      仕込容器:木桶
      使用瓶:六花附長筒酒入(りっかつきながつつさけいれ)
      参考小売価格 :1,980円(税込)

    新政ラインナップ中もっとも個性的な作品とも言える「亜麻猫」。通常の清酒用麹に加えて、強い酸味を持つ焼酎用麹(白麹)をも用いて醸されており、日本酒離れした酸味が楽しめる作品となっている。まさに「新政」の実験的精神を端的に表した作品として、定番化されて12年を経た現在においてもひときわ異彩を放つ存在であるといえる。さらに「Colors」、「陽乃鳥」同様の木桶仕込みであり、近年はその個性をより強めている。スピンオフとしては瓶内二次発酵を行った活性濁り生酒「亜麻猫 スパーク」が存在する。

    亜麻猫
  • R03BY July.2021 - June.2022
    低酒精発泡純米酒
    天蛙(あまがえる)第11世代
    • 内容量:720mℓ
      原料米:酒こまち
      精米歩合:麹米55%、掛米60%
      アルコール分:9度以下
      仕込容器:温度制御タンク
      使用瓶:耐圧ストレート
      参考小売価格 :2,480円(税込)

    「天蛙」はアルコール濃度10%以下で薄にごりの、低アルコール発泡性清酒である。「瓶内二次発酵酒」であるため、生存している酵母によるアルコール発酵が進みがちで、内圧が予想以上に高まる恐れがある。このため蔵内での貯蔵はもちろん、取扱店舗での管理もマイナス5度以下の厳守を依頼している。購入後の管理にも慎重を期すため、ビギナーには決してお勧めできない究極のマニア酒といえよう。なお、一般的にこの手の低アルコール清酒は工業的な製法で造られる傾向が少なくないのだが、新政の独自設計による「天蛙」は、もちろん新政の他の全作品と同様、醸造用乳酸や酵素剤、無機塩類など原料記載の不要な添加物は一切使われず、伝統製法の応用で醸されている。なお非常に困難を極める製造工程のため、本作品は5~7月に少量のリリースが行われるのみである。

    天蛙
  • R03BY July.2021 - June.2022
    低精白純米酒
    涅槃龜(にるがめ)第9世代
    • 内容量:720mℓ
      原料米:酒こまち
      精米歩合:88~92%
      アルコール分:12~13度
      仕込容器:木桶
      使用瓶:六花附長筒酒入(りっかつきながつつさけいれ)
      参考小売価格 :1,980円(税込)

    江戸時代の日本酒のエッセンスを現代に蘇らせるため、麹ならびに掛米とも精米歩90%前後といういわゆる低精白で醸造した純米酒である。通常、こうしたほとんど磨いていない米の酒造りは、雑味が発生しやすく至難を極める。本作品には、当蔵の持つ吟醸造りの技術の粋を凝らすことで、現代吟醸のエレガントさも同時に表現するように心がけている。なお2019年収穫米からは、満を持して木桶仕込みとなり、より伝統的な姿を体現するものとなっている。製法の進化が著しく、将来的な伸びしろは無限大である。ファンにはぜひ追いかけてもらいたい作品である。

    涅槃龜